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現場から伝える時効の話 | 1

借金にも時効がある

借りたお金を返さなくてもいいの?

ニュースやドラマなどで「時効」という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあるでしょう。
時効とはどういう意味か?と聞かれたら「一定時間が経てば罪を問われなくなること?」というニュアンスで、多くの方も漠然と理解されていると思います。

そのような時効の制度ですが、実は日常生活のあらゆる場面で登場します。
昨今聞かれるようになった未払いの残業代や、飲み代のつけ払いなどでも時効になれば払う義務が消滅します。
そしてそれは、銀行や消費者金融から借りたお金でも同じなのです。

 

時効の制度はなぜ存在するのか

まず、時効と言っても刑法上と民法上で大きく違いがあるのですが、このお話は借金問題がテーマですので、民法に限ってお話を進めていきます。

そもそも、借りたお金を返さなくてもいいなんて、そんな都合の良いことがどうして認められるのかと、疑問に思われる人もいるでしょう。
しかし、これは法律的にきちんとした理由があって決められているルールなのです。

時効とは、長い間続いた事実や状態を尊重して、その状態を正当なものとして法律的にも認めるという意味です。
これを借金問題に当てはめると、長期間請求や連絡をせずに、あるいは出来ずに放置されたものは一定期間を過ぎると請求の権利を失うということです。

過ぎ去ってしまったことをすべて、いつまでも管理していくのは大変ですよね。
何事もどこかで線を引かなければいけないという意味もあり、古いことは整理していこうという目的もあるでしょう。

そして、自分の権利は自分で守っておかないと、時期が来ればそれを失ってしまうことになるのです。

 

どうなれば時効になるのか?その要件とは

では、どのような条件が揃えば借金は時効になるのでしょうか。

まず、最初に問われるのは「5年以上返済せず、債務の存在も認めていない」ということです。
いつから数えて5年なのか?等については、最近の民法改正で細かい変更がありますが、ここでは割愛します。

自分の借金が時効かどうか?という段階で、そこまで細かいことに着目することは、大多数の人にとって難しいことです。
簡単に考えると、最後に払ったり借りたりしたのが5年以上前なのかどうか?ということになります。
また、過去に裁判で判決を取られている場合は、時効の期間が10年となります。

自分で判断するのは危険ですので、必ず専門家に相談した方がいいでしょう。
oden

 

この記事を書いた人
執筆者:oden
新卒で大手司法書士事務所に入所し、知識ゼロから債務整理業務の補助者として業務に当たる。
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