消費者被害について原弁護士にインタビュー

事務所名 原修三法律事務所
代表者 弁護士 原 修三
郵便番号 〒541-0043
住所 大阪府大阪市中央区高麗橋2-3-15 上喜ビル6階
TEL 06-7777-2593
営業時間 平日9:30〜18:00

 

 

原修三法律事務所の原弁護士にインタビュー

 

本日はありがとうございます。
chie

 

ひとくちに、通信販売といっても、オンラインショッピングサービスやオークション、ネット副業、情報商材等幅広くありますが、実際、先生のところへはどのような問題でご相談に来られる方が多いのでしょうか?
chie
原 修三

私のもとへご相談に来られる方として多いのは、ネット副業・情報商材に関するトラブルに遭われた方です。

『スマホで簡単に月30万円稼げる!』『AIを使った自動売買で不労所得!』といった甘い言葉に誘われて、高額な情報商材を購入してしまう人が後を絶ちません。
最近相談があったケースでは、ある方が『副業スクール』と称するオンライン講座に「期間限定特別価格 50万円」で申し込んだものの、提供されたのは無料で手に入るような情報の寄せ集めだったというケースです。契約解除を申し出たものの、『クーリングオフは適用されない』と断られ、泣き寝入りしかけていました。

特に最近は、LINEやDMで個別に営業をかける手法が増えているので要注意です。『無料相談』と言われて参加したら、最終的に高額なコンサル契約を結ばされてしまうケースもあります。

 

この10年で相談内容の種類に変化はございましたか?
chie
原 修三

この10年で、通信販売やネット取引をめぐるトラブルの内容は大きく変化しています。特に、ECサイトの普及やスマートフォンの浸透、SNSの影響によって、新しいタイプの相談が増えてきました。

この数年で特に増えたのが、「SNS広告経由の詐欺」「フリマアプリ・個人間取引のトラブル」「ネット副業の契約トラブル」です。

たとえば、『InstagramやFacebookの広告を見て人気ブランドのバッグを購入したら、全く違う粗悪な商品が届いた』というケースが増えています。特に、海外に拠点を置く業者が多く、連絡が取れない・返品ができないといった相談が後を絶ちません。

また、メルカリやラクマなどのフリマアプリが普及するにつれて、個人間の売買トラブルが増えています。『購入者から一方的に偽物扱いされて返金を求められた』『売った後に「壊れていた」と言われ、全額返金になった』など、出品者・購入者双方のトラブルが発生しています。フリマアプリは運営会社の裁量で判断されるケースが多いため、納得のいかない対応をされたという相談が多いです。

さらに、ここ数年、特に目立つのが『スマホで簡単に稼げる』『投資で月数万円の不労所得』といったネット副業に関する相談です。10年前はアフィリエイト詐欺のようなものが主流でしたが、最近はLINEやDMで個別勧誘を行い、『最初は無料』と言って高額なコンサル契約を結ばせる手口が増えています。契約後に『クーリングオフできない』『稼げるどころか何も教えてもらえない』と気づくケースが多いです。

 

これまでに解決された消費者被害で印象に残っている相談・解決事例を可能な範囲で教えていただけますでしょうか?
chie
原 修三

これまでに多くの消費者被害のご相談を受けてきましたが、特に印象に残っているケースをいくつかご紹介します。

1.SNS広告で購入したブランドバッグが偽物だったケース
ある方が、Instagramの広告を見て、海外の人気ブランドのバッグを『公式サイトよりも半額』という価格で購入しました。しかし、届いた商品は明らかに粗悪な偽物。販売業者に問い合わせても、『返品は受け付けない』と一点張りで、サイトには連絡先の記載もありませんでした。

そこで、クレジットカード会社に「チャージバック(支払い取り消し)」を申請し、販売業者が詐欺的な手法を使っていることを説明したところ、最終的に支払いが取り消され、返金されました。最近では、クレジットカード会社や消費者センターと連携して解決できるケースも増えているため、こうした対応を知っておくことが大切です。

2.ネット副業の「高額情報商材」トラブル
『スマホだけで月30万円稼げる!』という触れ込みで、50万円の副業講座に申し込んだ方のケースです。最初は無料のZoomセミナーに参加し、その場で『今日申し込めば特別価格!』と煽られ、つい契約してしまったそうです。しかし、提供されたのは、ネットで調べれば誰でも分かるような薄い内容で、実際にはほとんど稼げないものでした。

契約書を確認すると、『クーリング・オフ不可』と書かれていましたが、よく調べると特定商取引法に違反する契約内容が含まれていたため、業者に対して違法性を指摘し、全額返金を勝ち取ることができました。ネット副業の勧誘は年々巧妙化しており、「すぐに決めないと損をする」と急かされたら、一度冷静に考えることが大切です。

 

弁護士としてあらゆる法律問題に携わってこられたと思いますが、なぜこのような消費者被害に注力しようと思われたのですか?
chie
原 修三

消費者被害に注力するようになったのは、次の二つの理由からです。

1.『誰もが突然巻き込まれる可能性がある問題』だからです。
特に近年は、インターネットやスマートフォンの普及により、以前よりも簡単に商品を買える一方で、消費者を狙った巧妙な詐欺や不正な取引が増えています。

たとえば、
SNS広告を見て購入したら偽物だった
フリマアプリで売った商品に「壊れていた」と言われ、返品詐欺に遭った
「簡単に稼げる副業」として高額な情報商材を買ったが、実態がなかった
などです。

こうしたトラブルは、決して一部の特定の人だけが巻き込まれるものではありません。どんなに慎重な人でも、ある日突然被害者になる可能性があるのです。

弁護士として消費者被害の問題に取り組むことで、『泣き寝入りするしかない』と思っている人たちに解決策を提供し、正しい情報を発信することで未然に防ぐこともできると考えています。

2.消費者被害の解決は「生活を守る」ことにつながるからです。
企業同士のトラブルや大きな契約の問題と違い、消費者被害は日常生活に直結する問題です。高額な詐欺被害に遭えば、生活が立ち行かなくなることもあります。
フリマアプリでのトラブルでアカウントが凍結され、収入源を失う人もいます。
ネット副業の詐欺で、借金を抱えてしまうケースもあります。
こうした『生活の基盤』を脅かす問題に対応し、被害に遭った方が再び安心して暮らせるようサポートすることに、大きなやりがいを感じています。

弁護士として、こうした問題の解決に取り組むことで、消費者が安心して取引できる社会を作る一助になれればと思っています。「困ったときに相談すれば解決できる」と思える人を増やしたいと考えています。

 

消費者を守ってくれるクーリング・オフ制度ですが、通信販売では適用されないという情報を耳にしました。もし、トラブルがあっても、諦めるしかないのでしょうか?解決への道はあるのでしょうか?
chie
原 修三

たしかに、クーリング・オフ制度は通信販売には適用されません。これは『消費者が自分の意思でじっくり考え、比較検討した上で購入できる』という前提があるためです。しかし、だからといって、トラブルが起きても諦めるしかないわけではありません。実際には、いくつかの解決策があります。今回は、そのうち次の三つをご紹介します。

1. 事業者の返品ルールによっては返品・返金が可能な場合があります。
通信販売では、事業者が返品の可否や条件を明記する義務があります。もし『返品不可』の記載があれば返品は難しいですが、何も記載がなければ、商品到着後8日以内であれば返品できると法律で定められています。

また、Amazon、楽天、Yahoo!ショッピングなどでは、独自の補償サービスがあり、一定の条件下で返金対応を受けられることがあります。

2. 「契約不適合責任」を主張する場合です。
購入した商品が説明と異なる、欠陥がある、不良品だった場合は、民法上の「契約不適合責任」に基づいて返品や交換を求めることができます。
たとえば、
商品ページには「日本製」と書いてあったのに、届いたら海外製だった
サイズ表記が明らかに間違っていた
画像と全く違うデザインの商品が届いた
などです。
このような場合、販売者に契約不適合を理由に返品・交換を要求できるのです。

3. クレジットカードの「チャージバック制度」を利用する場合です。
もし詐欺まがいの業者から商品を購入し、返金に応じてもらえない場合は、クレジットカード会社に「チャージバック(支払い取り消し)」を申請する方法があります。

商品が届かない
偽物だった
事業者と連絡が取れなくなった

こうした場合、カード会社に申請することで強制的に支払いを取り消してもらえる可能性があります。特に海外通販サイトのトラブルでは有効です。

 

トラブルを未然に防ぐ為に、私たち自身も常日頃から気をつけていきたいものです。インターネットを安全に利用し上手に付き合っていく為に、注意しておくポイントがあれば、教えていただけますでしょうか?
chie
原 修三

その通りですね。インターネットはとても便利ですが、トラブルを未然に防ぐためには『賢く、安全に利用する意識』が大切です。特に、近年は詐欺の手口も巧妙になっているため、次のポイントに注意すると安心して使えます。

1. 「お得すぎる話」は疑う
ブランド品が「定価の半額以下」なら偽物の可能性が高い
副業や投資案件が「誰でも月30万円稼げる」なら詐欺を疑う
SNSの広告は、信頼できる企業の公式サイトか確認する
などといった点は、注意しておくべきポイントです。

2. 「販売者情報」を必ずチェックする
特に住所や電話番号がない、問い合わせても返答が遅い業者は要注意です。

3.「口コミや評判」を必ず調べる。
良い口コミばかりのサイトは不自然(やらせの可能性)です。
低評価の口コミに「偽物だった」「届かなかった」がある場合は警戒する。
フリマアプリでは「取引実績」や「過去の評価」もチェックしましょう。

4. クレジットカード決済を優先する
詐欺サイトで銀行振込をすると、返金がほぼ不可能ですが、クレジットカードなら「チャージバック制度」を利用して支払いを取り消せる可能性があります。
不審なサイトでは銀行振込や電子マネー決済は避けましょう

また、フリマアプリでも、直接振込を求められる場合は詐欺の可能性があるため、必ずアプリの決済システムを通すようにしましょう。

5. フィッシング詐欺に注意する
最近増えているのが、大手企業を装った「なりすましメール・SMS」です。

『Amazonのアカウントが停止されました』
『未払いの料金があります』
『楽天のログイン情報を確認してください』
こういったメッセージには絶対に記載されているリンクをクリックせず、公式サイトでログイン情報を確認するようにしましょう。

メールアドレスが不自然でないか、 URLが「amazon.co.jp」や「rakuten.co.jp」ではなく、怪しい文字列になっていないか確認しましょう。

 

相手が悪質な業者なのか、また騙されているかどうかわからない状況であっても相談しても大丈夫でしょうか?
chie
原 修三

もちろん、大丈夫です。むしろ、『騙されているかどうか分からない』という段階で相談していただくことがとても重要です。

悪質な業者は、消費者が『ちょっと怪しいけど、まあ大丈夫だろう』と油断する心理を狙っています。そのため、
『この業者、大丈夫かな?』
『この話、ちょっと良すぎる気がするけど…』
『返品したいけど、業者が対応してくれない』
といった少しでも違和感を感じた時点で相談することが、被害を防ぐカギになります。

たとえば、過去にご相談いただいたケースで、『ネット通販で注文した商品がなかなか届かないが、詐欺かどうか分からない』という方がいました。調べてみると、その販売サイトはすでに他の消費者からの苦情が多数寄せられている業者だったため、すぐにクレジットカード会社へチャージバックを申請し、支払いを取り消すことができました。

このように、『まだ騙されたとは断定できない』状況でも、早めに相談すれば、トラブルを未然に防げる可能性が高いです。

 

相談・依頼するタイミングで返金できるか等の結果は変わってくるのでしょうか?
chie
原 修三

はい、相談や依頼するタイミングによって、返金の可否や解決の可能性は大きく変わります。特に、早めに行動することで、被害を最小限に抑えたり、より有利な結果を得られるケースが多いです。

逆に、返金を受けられる可能性は「時間」とともに下がります。
トラブルが発生してから時間が経つと、次の三つの理由で返金のハードルが高くなります。

1.クレジットカードの「チャージバック」の期限が過ぎます。
クレジットカードで決済した場合、不正な取引に対する「チャージバック(支払い取消し)」が可能ですが、多くのカード会社では申請期限が60日以内などの制限があります。期限を過ぎると、支払いを取り消すことが難しくなるため、「おかしいな?」と思ったらすぐに動くことが重要です。

2.業者が逃げる可能性があります。
悪質な業者は、ある程度の被害者が出た時点でサイトを閉鎖したり、連絡が取れなくなることがよくあります。そのため、被害に気づいたらすぐに業者へ返金を求めるか、消費者センターや専門家に相談することが大切です。

3.時間が経つと証拠が消えます。
一定期間を経過すると、
購入ページが削除される
メールやチャット履歴が消える
場合があります。

このように、証拠が揃っていないと、後に返金を求めても「証拠不十分」と判断されることがあります。購入時のスクリーンショットや取引履歴を早めに確保し、相談することが大切です。

 

費用についてもお伺いしたいです。よくある事例と、その費用について教えていただけますか?
chie
原 修三

相談や依頼を検討される際に、費用がどれくらいかかるのか不安に思われる方は多いと思います。

『これってトラブルなのかな?』『自分のケースは対応できるの?』といった初回のご相談については、無料相談を実施しています。

よくある事例と費用なのですが、
高額な情報商材を購入したが、中身がほぼ無価値だった/解約できないといった、いわゆるネット副業や情報商材詐欺の事例の場合

費用は、着手金0円/事務手数料(税込み)22,000円/成功報酬(税込み)33% となっております。

 

原先生が依頼者と接する上で、普段から心掛けておられることは何ですか?
chie
原 修三

弁護士として依頼者の方と接する際に、私が特に心掛けているのは、次の二つです。

1. 相談しやすい雰囲気を作ることです。
法律の問題は、誰にとっても「難しそう」「自分の相談なんか大したことないかも」「弁護士に相談するのはハードルが高い」と感じるものです。

しかし、消費者トラブルは誰にでも起こり得る問題であり、『相談してよかった』と思っていただけるよう、話しやすい雰囲気を大切にしています。
難しい法律用語を使わず、分かりやすい言葉で説明する
依頼者の話をしっかり聞き、不安を取り除く
一方的なアドバイスではなく、相談者の気持ちや希望を尊重する

実際に『最初は緊張していたけど、話してみたらすごく安心できた』と言っていただけることも多く、それが私にとっても大きなやりがいになっています。

2. 依頼者の立場に立った解決策を考えることです。
法律的に「正しい」対応が必ずしも、依頼者にとってベストな解決策とは限りません。

例えば、
訴訟を起こせば勝てる可能性が高いが、時間と費用がかかる
交渉で解決できれば、負担を少なく済ませられる
クレジットカードのチャージバックなど、法的手続き以外の手段もある
こうした選択肢の中から、依頼者の状況に応じた「最適な方法」を一緒に考えることを大切にしています。

 

最後に、相談を悩まれている方にメッセージをお願いいたします。
chie
原 修三

もし、今『これってトラブルなのかな?』『相談するほどのことじゃないかも…』と悩んでいるなら、迷わず、一度ご相談ください。

消費者トラブルは、誰にでも起こり得る問題です。ネット通販やフリマアプリ、情報商材、副業詐欺など、日常の中で思いがけずトラブルに巻き込まれることがあります。でも、『弁護士に相談するほどのことじゃない』と思って、泣き寝入りしてしまう方も少なくありません。

しかし、実際には『早めに動けば解決できた』『もっと早く相談すればよかった』というケースがとても多いのです。

ご相談いただければ、「あなたにとって最善の解決策」を考えます。相談したからといって、必ず訴訟や弁護士費用が発生するわけではありません。まずは、話をしてみるだけでも、新しい選択肢が見えてくるはずです。

「相談してよかった」
そう思ってもらえるように、しっかりサポートさせていただきますので、どうか一人で悩まず、お気軽にご相談ください。

ご回答いただきありがとうございました。
chie